第61章

ルービックキューブ。

佐藤央は北村健の向かいに座っていた。今日は二人きりだった。

テーブルの上にはたくさんの酒が置かれ、大画面ではMVが流れていたが、音声はなかった。

外の喧騒に比べ、この個室は特別静かに感じられた。

佐藤央は自分でお酒を注ぎ、一気に飲み干した。続けて二杯目、彼は合計三杯立て続けに飲んだ。

北村健も何も言わず、足を組んでソファに無造作に寄りかかり、ソファの背もたれに置いた手でライターを弄びながら、静かに佐藤央を見つめていた。

三杯の酒を立て続けに飲んだため、佐藤央は咳き込みそうになったが、必死に堪えた。そのせいで顔が少し赤くなっていた。

やっと佐藤央は北村健を見...

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